放送を通してしか福音に触れられない人に向けて

東 裕之太平洋放送協会広報/「ライフ・ライン」 ディレクター

「神は、すべての人が救われて、真理を知るようになることを望んでおられます」(テモテへの手紙第一 2:4)

高校生のある日、私はクリスチャンのクラスメートに誘われて教会に行き、そこで初めて聖書の話を聞きました。メッセージの内容はよくわかりませんでしたが、真理が語られていると感じました。人生の意味についていつも考えるようになっていた私は、そこに集っている人たちの姿を見て、心惹かれ、「ここにその答えがあるのでは」と思い、教会に通うことを決心したのです。
でも、毎週教会に通うということはかないませんでした。教会が家から少し遠いということと併せて、宗教、特にキリスト教に偏見をもつ親の強い反対があったのです。
しかし、私の心は飢え渇いていました。どうにかして聖書の話を聞きたいという思いを、私を教会に誘ってくれた友人に話すと、彼は、キリスト教のラジオ放送があることを教えてくれました。私は貪るようにして熱心にその放送を聴きました。私の求道生活は、その福音放送によって支えられ、養われていたと言ってもいいでしょう。
その後、大学生になり一人暮らしを始め、しっかりと教会生活を送る中ではっきりと信仰をもつことができ、受洗の恵みにあずかりました。その後、一般の仕事に就きましたが、福音放送に携わりたいという願いをもち続けて、やがて太平洋放送協会(PBA)で働くようになりました。高校生の私に初めて聖書の話を聞かせてくれた村上宣道牧師がそこで理事長をしていることを知り、不思議な導きを感じたものです。
PBAは、ラジオ番組「世の光」、テレビ番組「ライフ・ライン」という福音番組を一般の放送局から放送することで、クリスチャンではない方々に福音を届けています。
そして私は、2020年より「ライフ・ライン」のディレクターとして番組制作に携わることになりました。番組では、キリストにある生き方のすばらしさを多くの人に知ってもらうために、クリスチャンの方をドキュメンタリー形式で紹介しています。
いろいろな方を取材していく中で今、いちばん感謝なことは、私自身の心が癒やされるという体験をしていることです。キリストに出会った方がそれぞれ神様に取り扱われていく証しを収録し、編集していく過程で、自分の魂の傷があらわにされ、そこに神様の御手が伸ばされる恵みを実感するのです。この恵みを、番組を見てくださるお一人お一人と分かち合いたいと強く願っています。
かつての私のように、放送を通してでしか福音に触れることができない方々が、まことの神様を知り、救いを得ることができるようにと願いつつ、これからも放送伝道を通して主に仕えていきたいと思います。