鬱を通して絵描きへ 絵で神様の思い伝えたい

ホンダマモル画家 原市場聖書教会員

私は2016年から画家として活動し、「ヒトリコテン」という展示会を行い作品を発表しています。過去を振り返ると、私は神学校を経て2001年に千葉県にある教会で牧師として仕え始めました。私にとって牧会はそれからの生涯の全てをささげていく働きだと信じていました。しかし2014年頃から心と体に異変を感じるようになりました。体がとても疲れたり、心がひどく落ち込むようになり、毎日状態が悪化していくことが手に取るようにわかりました。精神科の病院に行くと、私は鬱病であると診断されました。そのままでは病が悪化するため、2015年の春から牧師を休職して療養することにしました。療養中、私は全く寝床から出ることができませんでした。理由もなく心が落ち込んだり、イライラしたり、夜には突然に恐怖感が襲い、原因もなく怒りが込み上げたり、死んでしまいたいと思ったり。様々な症状に苦しみました。

半年ほどたつと私は少しずつ寝床から出ることができるようになりました。それまで何もする意欲も無かった私ですが、何かしたいと思うようになりました。私は以前から絵を描くことが好きだったので、筆をとり、自由気ままにキャンバスに絵を描き始めました。するといつのまにかその絵の中に、自分が経験した病の苦しみや痛み、そしてその中にあっても共にいてくださる神様のことを描くようになりました。思い起こせばそれは神様との対話のようなもので、絵を描くことで私は神様から癒やしを頂いていたのだと思います。
気がつけば作品は70点ほどになっていました。私はこれらの作品を発表する展示会を行おうと決心しました。展示会の名前は「ヒトリコテン」。だれでもひとり、コテンと倒れ、立ち上がることのできない時があるかもしれません。そのような日々を生きる私たちですが、ヒトリコテンに展示した作品を通して訪れてくださった方の癒やしになればと願って名前をつけました。2016年の10月に第1回の「ヒトリコテン」を開催。私が想像もしなかった多くの方々がお越しくださいました。そして私の作品を通して、心が慰められたと言ってくださる方がたくさんおられ、それは本当に幸せなことでした。

牧師を休職していた私は、それからの自分の人生をどのように生きるべきか考えなければなりませんでした。私は神様の前に、「これからは絵を描く作家として神様のことを伝える者になりたい」と祈りました。その祈りの中で私は作家として生きようと決心し、牧師を退職しました。今年で作家活動を続けて7年目を迎え、次回でヒトリコテンの開催は10回を数えます。この活動を継続できているのは神様のあわれみと、多くの方々の祈りと応援のゆえです。私はこれからも絵を描き続け、そしてヒトリコテンという展示会を通して、そこに訪れる方々が神様の下さる救いの恵み、癒やし、希望を感じられるような空間を作っていきたいと願っています。この小さな私の活動のために、ご声援を頂けたらこの上もない幸いです。