EHCモルドバ 聖霊によって与えられる感受性

◆海外からの文書伝道レポートを紹介します。

コロナ禍での宣教のアプローチ

世界各地で宣教活動を行うEHCは今、新型コロナウイルスの影響によりもたらされた「ニュー・ノーマル(新しい常識)」に対応した宣教方法を模索しています。インターネットを活用して福音を分かち合っている宣教チームや、生活必需品や食料を配りながら福音を分かち合っているチームもあります。そして、医療現場の最前線で働く医療従事者に対しても福音を伝えています。

EHCモルドバも、コロナ禍にあって宣教を続けています。現在、世界中でインターネットが利用されていますが、モルドバ共和国には、住民がパソコンやスマートフォンを持っておらず、インターネットのインフラが整っていない村があります。そこに住む人々にイエスの愛のメッセージを伝えるには、感染予防のためにマスクを着用して、直接訪問するしかありません。

宣教チームがセカレニという村を訪ねた時のことです。宣教スタッフはマスクを着用してましたが、外部の人を受け入れたくない住人たちに、訪問を拒まれました。村人たちから「村に新型コロナウイルスを持ち込む危険な訪問者がいます」と報告を受けた村長は、数名の警官たちと一緒に宣教チームに会いに来て、次のように丁重に言いました。「みなさんが伝えようとしているメッセージがとても大切だということや、みなさんが私たちを助けたいと思って訪ねていることは承知していますが、どうか別の時に来てください」

宣教チームはそれを真摯に受け止め、別の地域を訪問することにしました。感染を懸念する村人たちの感情を受け止め、その思いを最優先にしたのです。無理に宣教活動を続けなかったので、村とはよい関係が保たれました。またいつかセカレニ村を訪ねるときには、村人たちはきっと喜んで迎えてくれることでしょう。

次に、宣教チームがドラグシェニィという村を訪問すると、そこでの反応は、セカレニ村とはまったく違っていました。ある女性はコーヒーを用意して、迎え入れてくれたのです。そして、その女性や近隣の家庭に聖書を6冊配ることができました。この村では、「聖書を配っているのですか? 私に1冊下さい!」と宣教チームを追いかけてくる人さえいたほどです。

「この災禍の中で、世界のどこに住む人も、実際に会って対話したり、福音を聞いたりするのを避けたいはずだ」―そう思い込んでいる人が多いのではないでしょうか。しかし、そうではありません。この状況の中でも、家に招き入れたり、声をかけてきたりして、聖書が示す救いを追い求める人がいるのです。世界的なパンデミックの真っただ中でさえ、イエスが私たちに言われたように、「収穫は多い」(マタイ9:37)のです。重要なことは、相手に福音を伝える「時」を適切に見きわめることなのです。

「福音を伝えるとき、相手の心を敏感に感じ取ること」EHCモルドバのチームは、コロナ禍での宣教を通して、この重要性に改めて気づきました。とても単純なようで、意味の深いことです。以前から伝道に際して必要とされてきたことですが、今後は、さらに重要性が増していくでしょう。

分極化が進む社会の中での宣教

今、新型コロナウイルスに対して、恐れを強く抱く人もいれば、一方ではまったく気にかけない人もいます。人々の見解が極端に分かれる中で、私たちは福音を()べ伝えるに当たって、語るにも行動するにも、思慮深くあらねばなりません。コリント人への手紙第一、9章19~22節を読んでください。「すべての人に、すべてのものとなりました」(同22節)と語る使徒パウロのような態度で、1人でも多くの人に魂を救う福音のメッセージを伝えていく必要があるのです。

「このような時にも、福音に対して心を開いている人々がいます。彼らは、医療や政策ではなく、神しか与えることができない、希望、平和、安らぎを必要としてるのです。今、彼らは神を求め始めています!」―宣教ディレクター、ニコラエ・シリ

まさにこれに当てはまるのが、今回EHCモルドバのチームがセカレニ村の人々の感情に配慮して訪問を控えたり、ドラグシェニィ村の人々の霊的な飢え渇きに気づいて宣教を推し進めたことです。聖霊に与えられた感受性で感じ取った相手の心情に応じて、このように対応したことは、ドラグシェニィ村の収穫につながり、将来的にはセカレニ村での収穫につながっていくでしょう。

今日の社会に見られる大きな特徴は、私たち一人一人が独自の見解を強くもち、非常に分極化していることです。個人の見解は必要なものですが、場合によっては対立も生み出します。宣教するとき、論争があるテーマについて自分の見解を伝えたために、相手が福音を聞くのを拒んだらどうでしょう。私たちの個人的な信念によって、福音宣教が妨げられることは許されないのです。

他の人の心情を敏感に感じ取る聖なる感受性を、聖霊が私たちに与えてくださるよう祈りましょう。そして、対話する相手が「愛されている」と感じることができるように、また心のドアを開けてイエスの愛について聞くことができるように祈りましょう。

(国際EHCホームページより)

祈りの課題

EHCモルドバは、神の助けにより、多くの村に福音を届けることができました。また、生活に困窮している人たちには食料と一緒に福音を分かち合いました。新たにクリスチャンとなった人々が、教会につながり、霊的に成長するようにお祈りください。
(モルドバ共和国)
人口340万人 クリスチャン比率4.6%
(世界からの祈りのリクエストより)