初めて教会に行ったら…⑦

福音点字情報センター協力委員 矢板ホーリネス教会牧師
田中敏信

点字の讃美歌がありますか?

前回は、点字の聖書について書きました。それで今回は点字の讃美歌のことです。その前に、ここで原点です。ある目の見えないクリスチャンの方から聞いたお話です。
――私はある町で教会に行き、洗礼を受けました。それが、仕事の都合で引っ越しをすることになりました。行った先の町で教会を見つけ、早速礼拝に出席したんです。でも、その教会には点字の讃美歌がありませんでした。しかもその教会のグループ独自の讃美歌で、まだ点訳もされていませんでした。ボランティアの方に点訳をお願いし、でき上がるまで私は点字の聖書だけを持って礼拝に出席することにしたんです。すると次の土曜日の朝です。その教会の牧師さんが私の家まで来てくださいました。「Aさん。明日礼拝で歌う讃美歌の歌詞を、カセットテープに録音しましたよ。これです」と。今ならボイスレコーダーでしょうが、30年近く前はカセットでしたね。早速聞いてみると、牧師さんが讃美歌の歌詞を読み上げておられる声が聞こえてきました。うれしかったですねえ。これを何度も聞いて、歌詞を覚えます。これでみなさんと一緒に讃美歌が歌えるんです。それから毎週土曜日の朝、牧師さんがテープを持ってきてくださったんです。点字の讃美歌が届くまで、2か月くらい続きました。――
目の見えない人のために、教会に点字の聖書、点字の讃美歌を用意していただく。それは大切な配慮の一つですね。でもこのお話を聞いて、何かほっとしました。その牧師さんの温かさのような…。そこから出てくる柔軟な発想。やはりイエス様の教会ですね。このお話は、この牧師さんが天にお帰りになった時の葬儀でお聞きした「故人の思い出のスピーチ」の一つです。
「一つの部分が苦しめば、すべての部分がともに苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分がともに喜ぶのです」(Ⅰコリント12:26)
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洗礼式って何? みこころってどうわかるの? 献金の意味は? クリスチャンになっても実は知らなかった教会のこと、信仰生活のことで「今さら聞けない」ようなことを取り上げる。若い世代や洗礼を受けたばかりの人から、信仰歴数十年という人まで読める内容が詰まった1冊。
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会計報告 2024年7月1日〜2025年4月30日
■収入の部

献金 2,112,067
点字文書頒布収入 253,388
合計 2,365,455
■支出の部

印刷費 302,033
頒布活動費 1,652,360
事務局費 130,998
合計 2,085,391
次期繰越 280,064