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クワイ河収容所の奇蹟 〜死の陰の谷を歩くことがあっても〜
レビュー(ビデオ評)
まさに奇蹟
 極限状態の中での赦しと和解

コメンテーター 古川 第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会 牧師

 この映画は、あまりに重く、あまりにタイムリーで、ここに簡単に紹介してしまうことに不安を感じるほどの大きな内容を持っています。

  「一人の命は、地球よりも重い」という言葉があります。しかしこの映画には、「一人の命は、羽よりも軽い」という言葉が出てきます。「戦争」という状況では、そう考えることも必要なのでしょう。この映画は、羽よりも軽くされた人たちが、地球よりも重い自分を取り戻し、敵の中にもそれを見るまでに人間性を取り戻した、まさに奇跡としか言いようのない実話に基づくドラマです。

  「クワイ河」というと、あのミッチミラー合唱団の口笛で大ヒットした「クワイ河マーチ」を思い出します。「クワイ河マーチ」は、1957年の映画『戦場にかける橋』の主題曲でした。その舞台となった同じクワイ河収容所で、終戦間近に起こった出来事が、一冊の本を通して世界に知らされました。それが、1962年に出版されたThrough the Valley of the Kwaiでした。著者は、1942年にクワイ河収容所に入れられたスコットランド人の捕虜、アーネスト・ゴードンでした。日本では、『クワイ河収容所』(筑摩書房ちくま学芸文庫)として出版されています。この本は世界中の人に感動を与えロングセラーとなり、2002年にアメリカ・イギリス・タイの合作で映画化されました。それが、この『クワイ河収容所の奇跡』(原題:To End All Wars)なのです。

  私たちにとってつらいのは、クワイ河収容所は日本軍の捕虜収容所で、そこで捕虜たちを虐待するのが私たちの先輩の日本人であるということです。これが、この映画が日本で上映されない一つの理由でしょう。しかし、だからこそ、私たちは見なければならないと思います。原爆や空襲の被害者としてだけでなく、加害者としての日本についてもっと知らなければなりません。私にとっては、アジアの人々だけでなく、イギリスやアメリカの人々にも残虐行為をしたことは、あまり考えたことのないことでした。

  しかし、ゴードンが『クワイ河収容所』を書いたのは、日本を告発するためではなく、むしろ逆でした。翻訳者の国際基督教大学の斉藤教授の解説によると、『戦場にかける橋』に描かれた連合軍側の将校の態度や捕虜たちの姿に真相と食い違う虚飾を見て、彼が見た事実を公に知らせる責任を感じたのでした。この本は、日本人への告発ではなく、民族や国を超えた人間の悪そのものに対する告発でした。すべての人間の中にある「罪」の性質と、それでもなおすべての人の中に残っている「神の似姿」としての輝きが、極限状況の中でこそ目に見えてくるのです。来月は、この映画のストーリーを紹介しましょう












たとい、死の陰の谷を歩くことがあっても、私はわざわいを恐れません。あなたが私とともにおられますから。あなたのむちとあなたの杖、それが私の慰めです。
(詩篇23篇4節)

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