
AD2000年。新しいミレニアムの幕開けであり、キリストの降誕2000年を祝うこの年、それにふさわしいキリスト伝が映像化された。それが、この「ムービー・オブ・ジーザス」である。
キリスト伝といえば、これまでも、セシル・D・デミル監督の「キング・オブ・キングス」や、百人隊長をジョン・ウェイン、バプテスマのヨハネをチャールトン・ヘストンが演じた「偉大な生涯の物語」、オリビア・ハッシーがマリヤ役を演じた「ナザレのイエス」等、どの時代でも話題を呼んできた。
また、誰がイエスを演じ、どんなイエスが描かれているのかは、誰もが関心をもつところ。「偉大な生涯の物語」のマックス・フォン・シドや、「ナザレのイエス」のロバート・パウエルが演じたのは、神秘的なイエスであった。また、ビジュアル聖書「マタイの福音書」の、ブルース・マルチアーノ演じるイエスは、若々しく、エネルギッシュである。フィリップ・ヤンシーではないが、各場面を比較して上映したくなる。
さて、この「ムービー・オブ・ジーザス」でイエスを演じるのは、「クルーレス」や「白い嵐」に出演したジェレミー・シスト。「人であって神である」姿がよく現されている。
たとえば、大工として成人したイエスに、母マリヤが出生時のできごとを話し、その使命を伝えるシーン。この映画では、このことを通して自分の使命を認識するという設定になっている。
このように、この映画はあくまでも聖書を元に描かれているが、所々で監督ロジャー・ヤングは大胆かつSFXを駆使した演出をしている。その描き方には、「小説聖書」的面白さがある。
ゲツセマネの祈りのシーンも斬新だ。サタンが登場し、将来、イエスの名のもとに起こる数々の悲劇を見せて、「十字架にかかるのをやめろ。無意味だ」と誘惑する。イエスの目の前に繰り広げられる十字軍の進撃、魔女狩り、戦争……。これは、私たちだれもが一度はもつ疑問ではないだろうか。苦悶するイエス、しかし……。
そして、復活のシーンには、これまでのキリスト伝の中でも最高の美しさがある。グラミー賞を受賞したリアン・ライムスの歌が、バックにエンディングテーマとして流れる。映画館なら、最後のクレジットが終わるまで立ちあがれないだろう。
他にも、「愛はエーゲ海に燃ゆ」のジャクリーン・ビセットがマリヤを、「エアーフォース・ワン」のゲイリー・オールドマンがピラトを熱演。アメリカ公開前の、日本ビデオ発売である。
どんな描き方をしても、最後に残るのは、イエスの愛と十字架だけである。
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