時代を見る眼273

クリスチャニティトゥデイ誌編集顧問
ジャーナリスト
フィリップ・ヤンシー

トランプ現象を読む[3] 世と異なる“在留外国人”の役割
私が子どものころ、民主・共和両党が互いの異なる見解に寛容であった時代があった。今日、両党は極端に反対方向に行きすぎている。そしてそこにクリスチャンの出番がある。私たちはどの党に忠義を尽くすかを差しおいて、両者のギャップを気にかける。
「政治は教会の最悪の問題である」とフランスの社会学者ジャック・エリュールは警告した。「それは常に誘惑であり、最大の災難、この世の君が仕掛けたわなである」という。クリスチャンは2つの別々な忠誠を持っている。一方で社会を助けることに努め、他方で神の御国に究極の忠誠を誓う。
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私たちは〝在留外国人〟である。政党の綱領に従うのではなくイエスの生き方を模範とする。それはギャップを広げるより越えることを意味する。初期教会の人々は先駆的な居留地を形成し、社会に異なった生き方を示した。
多くのアメリカ人は2016年の選挙で選択のしようがないと頭を悩ませた。思い出してほしい、初期のクリスチャンに選択の余地はなかった。ネロやカリグラのような残虐な皇帝のもとで信仰を生き抜いたのである。その潮流は今に継がれている。史上最大のリバイバルはキリスト教信仰に反対する共産主義体制の中国で起きた。
クリスチャンが心に留めなければいけないのは、敵対する政府が信仰を押しつぶすことはないということである。また、私たちの希望は世俗の権力に近寄ることによるのではないというジャック・エリュールの警告にも心を留めるべきだ。エリュールはこの言葉を、教会と国家が近しくなりすぎたがゆえにほとんど信仰を捨ててしまった地域、ヨーロッパから発したのであった。
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クリスチャンは二重の忠誠ゆえに、和解といやしのために大切な役割がある。もしヒラリー・クリントン氏が勝利していたとしても、保守的なクリスチャンはそのような精神で応答したと思いたい。何といっても私たちが従うリーダーは、敵を愛し迫害する者のために祈れと命じたお方である。政治は敵と対抗するスポーツである。陣営に分かれ、レッテルをはり、敵を倒す。政治の核心は勝つか負けるかだ。クリスチャンには異なる核心、愛がある。それゆえ、福音派が新政権のために祈るとしても、恐れを感じている底辺層や少数派の人たちのために立ち上がり、リードしていくことを願っている。
ポストトゥルース(脱真理)時代に、私たちは今も真理を信じている。