DVD評 この映画から得る恵みは、“一生もの”

元ワーナー・ブラザース映画製作室長
字幕翻訳学校講師
小川政弘

 

世にキリストの生涯を描いた映画は、今年公開の「復活」、昨年の「サン・オブ・ゴッド」の他にも「パッション」、「ジーザス」、私が字幕翻訳した「偉大な生涯の物語」……と話題作がいくつもありますが、忘れてならないのが、「ナザレのイエス」です。これは「ロミオとジュリエット」や「ブラザー・サン シスター・ムーン」で有名なフランコ・ゼフェレッリが監督して一九八〇年に公開された、上映時間六時間十一分という超大作。この名作の日本での公開権(劇場、TV、ビデオすべて)が来年に切れると聞いて、「これは大変!」とばかりに、一筆、この映画をお勧めしたいと思います。
今、このDVDを久しぶりに見、改めてこの映画の魅力にうならされつつ、三点をお話しします。
①なんと言っても、イエス・キリストの生涯が、聖書に忠実に、しかも普通の劇映画の倍の長さで、じっくりと描かれていることです。まだ聖書を通して読んだことのない方も、この映画を見れば、新約聖書冒頭の福音書の内容を、生き生きとした映像によって、つぶさに知ることができます。
②この長編映画を飽きさせない力の一つは、豪華な俳優陣です。ロバート・パウエルのキリストは、澄んだ目が印象的。母マリヤにはオリヴィア・ハッセイ。なんと初々しいこと! そしてアン・バンクロフト、アーネスト・ボーグナイン、ローレンス・オリヴィエ、ジェイムズ・メイスン、アンソニー・クインなどの名優が、聖書の人物になり切って、素晴らしい迫真の演技を繰り広げるのです。
③最後に、長年映画界にいた者としてひとこと言いたいのは、教会でも個人でも、今がこの名作をキリスト教映画DVDのコレクションアイテムに加えられる、ラストチャンスだということ。一度権利が切れたら、もうそのチャンスは永久に巡ってきません。上映時間は倍でも、DVD価格は他の普通作品と同じ。「ああ、あの時に……」と後悔なさいませんよう。この映画から得る恵みは、“一生もの”ですから――。

 

「ナザレのイエス」
販売終了限定特価!!
2016年7月~2017年6月
個人鑑賞用 5,600円+税
(49896)
教会・団体レンタル用 8,500円+税
(49897)
■日本語吹替・字幕 カラー371分