時代を見る眼262 スポーツ 明日への起点 [1] スポーツは人間学

Japan International Sports Partnership(JiSP)代表
国分寺バプテスト教会 牧師
米内宏明

スポーツは時代を反映するといいます。スポーツは言語、文化、宗教を超えるユニバーサルランゲージ(世界共通言語)とも呼ばれます。そしてスポーツは、民族差別の中で、戦時下にあって、時代へ力強いメッセージを発しました。また自然災害で被災した子どもたちの多くは、スポーツや遊びで解放され、励まされるのです。
スポーツは対戦相手をリスペクト(尊敬)し、闘いながらフェアであることを求めます。個の力(個性)とチームワークを統合させ、仲間のミスをカバーするために、また自分のミスをカバーしてもらうために、お互いが全力を出さなければならないのです。スポーツはクリスチャンが大切にしてきている人生観を裏打ちします。
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私が住む隣町のリトルリーグは米国チャンピオンを打ち負かしてしまうほどのチームです。その総監督のお話にとても感銘を受けました。総監督とは配下のチーム監督・コーチの上に立つ方です。「監督は子どもたちに野球を教えている。しかし、野球で成功する子どもは一握りもいない。多くが途中で挫折し、野球を辞めなければならない。そのときの彼らに監督は何と言えばいいのだろうか。」 スポーツの世界で生き、誠実に子どもたちと向き合ってきたその方だからこその発言でした。そして「クリスチャン・アスリートの言葉(証し)を聞いて、人生の大切な価値が野球以外にもあることを、野球を通して教えられることを学んだ」と。
スポーツは人を変え、仲間を育てます。私が司式をしたある敬愛する方の葬儀で、祭壇の横に彼の愛用の野球グラブが飾られました。それは、彼と一緒に野球を楽しんだこと、負けと勝ちが何度もあったこと、そこで何を大切にしてきたかを思い起こさせるものでした。そしてその彼の人生の中心にはいつもイエスがおられたことも。スポーツには聖書の真理を具体的に学び、適用できる指針がいくつもあります。スポーツと聖書に取り組むとき、大きな変化が人にもたらされます。
中高生の運動部への参加状況を調べたレポートです。中学男子80.1%(71.5%)、同女子57.1%(55.5%)、高校男子65.0%(61.5%)、同女子37.0%(41.1%)。もし教会が、彼らの人生に寄り添い、負けるときにともに泣き、勝つときにともに喜ぶなら、彼らの人生と大切なことを必ず共有できると確信するのです。

*JiSPは、個人と団体の超教派のスポーツミニストリー・グループ。地域のスポーツミニストリーの交流、アスリート支援、ユースの育成、ワールドカップラグビーやオリンピックなどの大会を通しての地域貢献と宣教を目指している。注1 少年教育機構調べ/2016年。括弧内はBenesse教育研究開発センター調べ/2007年