CD Review ◆ CD評 音新しい讃美歌集でクリスマスを!


山本陽一郎
日本同盟基督教団 多治見中央キリスト教会牧師

発売されたばかりの教会福音讃美歌CD第三弾を、さっそく聴いてみました。クリスマスに関連した素晴らしい讃美歌が十七曲も収められています。
評者がこのCD「降誕」を聴いたのは、キャンドルの火が灯る中、ストーブにあたりながら……ではなく、九月のまだ強い日差しが照りつける部屋の中でした。けれども、聴き進めるうち、季節を越え、日常のさまざまな事柄からもひととき離され、主イエス・キリストの降誕の出来事に心がまっすぐに引き寄せられていきました。
今作は立教学院諸聖徒礼拝堂聖歌隊による「降誕のキャロル(八十二番)」から始まります。解説が付されているように、クリスマスの喜びの中にも不思議とキリストの受難が垣間見えるような、陰影に富んだ響きです。
個人的には、四曲目の「主は豊かであったのに(一〇二番)」にとても心惹かれました。キリストのへりくだりの生涯について、メロディーと歌詞が一体となって流れ込んでくる美しい曲です。「主は豊かであったのに 貧しくなられた わたしたちが主によって 豊かになるために」。繰り返される旋律を通して主を思い、深く感動しました。
この曲は日本バプテスト連盟によって一九九七年のクリスマスに作られたということですが、このように新しい讃美歌が数世紀も前に生まれた讃美歌とともに収められていることも、教会福音讃美歌の魅力であるといえるでしょう。
新しさということでは、その次の「野に伏す羊を見まもる牧人(八十番)」から展開される現代的アレンジの曲も秀逸です。降誕の喜びと恵みが生き生きと描かれています。
時代、ジャンル、スタイルをこえて収められたクリスマスの讃美歌の数々。聴き終えたときに思いを致したのは、最初のクリスマスに響いた、あの天の軍勢の賛美でした。
「いと高き所に、栄光が、神にあるように。地の上に、平和が、御心にかなう人々にあるように。」(ルカ2・14)
今年のクリスマスを新しい讃美歌集で味わってみてはいかがでしょうか。

<収録曲>1.降誕のキャロル(82番) 2.世の造り主は(71番) 3.静かに眠れるベツレヘムよ(75番) 4.主は豊かであったのに(102番) 5.野に伏す羊を見まもる牧人(80番) 6.貧しい馬屋の中(78番) 7.幼子が飼い葉桶(73番) 8.飼葉おけに眠る(81番) 9.かいばおけの干し草に(84番) 10.貧しい馬小屋 母にいだかれ(99番) 11.喜べ、主をたたえよ(64番) 12.神のみ子は世に来られた(61番) 13.主の民久しく(62番) 14.いかにしてわれ 主を迎える(68番) 15.ひとり子なる主 とわの父の(72番) 16.栄光とわに 王なる御子に(89番) 17.人みな喜び歌い祝え(92番)

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