豊かなディボーション生活のために
―もっと知りたい聖書の世界 ◆普段使っている聖書の隣に……

森恵一
保守バプテスト津田沼教会牧師

『バイブル・ナビ』の注解部分を抜き出した『ディボーショナル聖書注解』が出版されたと伺い、それは何より、と喜んでいます。『バイブル・ナビ』は、発売前は『チェーン式聖書』ほどの解説を推測していましたが、実際には膨大な注解が書き込まれており、その内容と分量に大いに感心させられたものでした。ただ、その大きさにも圧倒されまして、コンパクトカーを好む日本社会にはちょっと負担かなと感じていました。聖書本文と別にした今回の出版では、この注解書の魅力がますます高まるように思わせられています。
その意義はまずやはり、コンパクトになった点です。机のスペースを考えると、『バイブル・ナビ』の大きさでは本棚が定位置とならざるを得ません。でも本棚というものは概して〝埋蔵〟の温床です。今回の大きさなら、普段使っている聖書の隣に並べておくことができます。日頃のディボーションで聖書を読む際に手軽に開くには、このサイズがちょうど良いかと思われます。
それに聖書というものは、これ一冊と決め込み、たくさんの書き込みやよごれなども含めて、ぼろぼろになるまで「自分の聖書」とし、それを読み続けたいという人も少なくありません。そういう人にとっては、「自分の聖書」と一緒に読んでいけるのも魅力です。もちろん、機能性重視、オールインワンが最善と考える人にとっては、今後も聖書本文を含む『バイブル・ナビ』がおすすめであり続けるでしょう。
また私としては、聖書はなるべく縦書きで読みたい。特定の箇所を調べるならどちらでも構いませんが、聖書のことばに浸って読み進める際にはぜひとも縦書きで読みたいと思います。そういう感覚の人はけっこうおられるかと思いますが、それなら聖書は普段のものを開き、隣にこの注解を開くほうが、心地良いのですね。
書名に「ディボーショナル」とつけられていることも、なかなか有意義です。本書の解説は、事実関係を説明する辞書的なものとは違い、みことばを思い巡らす際の手助けになる呼びかけが多く含まれています。その分だけ、書き手の神学的な意識も組み込まれますが、これは他の信仰書でも同じこと。そういう特性も含めて、きっと良き示唆、刺激になるものと思われます。これは従来の『バイブル・ナビ』と同じということですから、すでにその効能を体験されている方も多いでしょうが。
そしてもう一つ。この解説はもともと聖書本文が伴っている前提で書かれているので、この文面だけではちょっと分かりづらい。ですから、読者は必然的に聖書そのものを読むはずです。信仰書の類はその文章だけで満足してしまい、聖書そのものを読まずに済ませてしまうことがあると言われますので、この性質はなかなか有益なことと、牧師としては思わせられています。
『バイブル・ナビ』から派生した今回の出版はとても有意義な取り組みであると、大いに歓迎しています。