福音派による讃美歌集を求めて 新讃美歌集発行を目指し『あたらしい歌』を発行(4)

歌いつがれた七〇年代以降の日本製讃美歌

― 暫定リストには、ヒルソングも入っていて、たしかに幅広いですね。

井上:「叫べ全地よ」がリストに入っていますが、この曲はヒルソングの中でも古典的な歌になっていますし、日本でも定着しています。

― いくつか日本生まれの曲もあるようですけれども。

井上:それを考えるうえでは、たとえば『友よ、歌おう』などが七〇年代以降のひとつの流れだと思いますが、『友よ、歌おう』を一九七〇年と考えると、四十年近くになりますよね。私たちの評価の視点も、古典として残る曲かどうか、普遍性があるかどうかというところにあるわけですが、四十年前の曲を今どう思うかというと、たとえば「これはちょっと気恥ずかしい」「これは、今もいけるな」というのが皆さんの感覚としてあると思うんですよ。新しくて特定の世代にだけ歌われるものほど、次の時代になったときに気恥ずかしくなっていく可能性があるわけで、ただ厳密にはそれは三十年ぐらい経ってみないと分からないですね。

― そうなると、既存の曲の場合、十年以上歌われている曲が対象になるということでしょうか。

井上:そうとも言い切れないですけれども、たとえば「叫べ全地よ」や「威光、尊厳、栄誉」とかは、そういうジャンルの中の曲であると同時に、もう一歩普遍的に全体の福音派の中のクラシック的な位置づけで、世代を問わずに歌われるような曲なので、そういうものになると、歌詞も吟味しますけれども、入れたほうがいいと思うんですよね。

― そういう意味では、まさに教会でどうなっているのかというところが問われるわけですね。

井上:そうですね。広がりと普遍性と評価、それが重要になってきますね。やはり、みんなが歌って良いと思って、みんなが歌いたいと思って、みんなが覚えて口ずさめるものであるということは、讃美歌のいのちを考えるうえでは、重要な要素だと思うので、それがあるものは無視できないし、それがないものを無理に押しつけることは難しいと思います。

二〇一一年の本歌集発行を目指して奮闘中

― 本歌集は二〇一一年の暮れ頃、発行予定とお聞きしていますが、作業は順調に進みそうですか。

高橋:タイムスケジュールはあります。しかし、実作業をしてくださっている現場の先生方のご苦労を知っていますから、片方の手で今までの仕事をフルにやって、もう片方の手を空かして、この作業をやっていらっしゃるんですよね。手弁当で。そういう意味で私は、理事長として皆さんの健康も含めて心配しています。

井上:心の中で、大丈夫だと思っています。その時期に向けて、全力で取り組もうと思っています。

蔦田:個々のいろいろな検討とか作業を考えたら、膨大な量になるわけです。それを実際にできるかという話になれば、今やらなければという話なんですよ。

― 最後に、本歌集の制作に向けて、一般の方々に求めたいことは、やはり『あたらしい歌』と『福音讃美歌ジャーナル 特別号』への意見でしょうか。

植木:そうですね。教会のレスポンスを期待します。これまで福音派の中に讃美歌を考える動きがなかったわけではありませんが、それを教会の課題として一緒に考えるということが、私たち福音讃美歌協会の重要な役割だと意識しています。

 多くのクリスチャンの方々が、この活動を「何をやるのかな」と見てくださるのは、ごもっともなことなのですが、ぜひ自分自身の課題として感じてくださり、個人として、教会として、教団として考えて、途中からでも参加をしていただければと願っています。日本同盟基督教団と日本福音キリスト教会連合の二教派で始まり、イムマヌエル綜合伝道団も加わってくださって、非常に感謝しています。

 私たちは、この三教派だけではなくて、キリストの教会に仕えたいという思いでやっています。ご意見をお寄せくださるとともに、正会員、賛助会員等として参加していただき、一緒にこの働きを担っていただければと思っています。


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