時代を見る目 249 生きづらさからの回復 [3] AAメンバーとしての生き方

齊藤和夫
青十字サマリヤ会 館長

サマリヤ館の回復支援として、AAミーティングへの参加プログラムがあります。AA(アルコール依存症者の自助会)がどのような団体であるかは、その設立主旨の序文を読めばわかります。
「アルコホーリクス・アノニマスR(Alcoholics AnonymousR)は、経験と力と希望を分かち合って共通する問題を解決し、ほかの人たちもアルコホリズムから回復するように手助けしたいという共同体である。AAのメンバーになるために必要なことはただ一つ、飲酒をやめたいという願いだけである。会費もないし、料金を払う必要もない。私たちは自分たちの献金だけで自立している。AAはどのような宗教、宗派、政党、組織、団体にも縛られていない。また、どのような論争や運動にも参加せず、支持も反対もしない。私たちの本来の目的は、飲まないで生きていくことであり、ほかのアルコホーリクも飲まない生き方を達成するように手助けすることである。」

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AAは現在、170か国以上に約11万5千のグループが存在し、メンバー数は約214万人です。日本には600以上のグループが存在し、メンバー数は約5,700人と推定されています。(以上、AA日本ニューズレター168号より)

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AAのある国際大会で、次のような「私の責任」という宣言があったそうです。
「誰かが、どこかで
助けを求めたら必ずそこに
AAの(愛の)手があるようにしたい。
それは私の責任だ。」
この宣言を読んだときに、私は青十字サマリヤ会の精神でもある、よきサマリヤ人のたとえ話を思い起こしました。まさに自分が愛の手で助けられた者であり、今度は助けられた私の責任で愛の手を差し伸べることの大切さを教えられました。
あるとき、当事者スタッフがAAミーティングの必要性について話をしていました。
「依存症者にとって、自分の命を守るためにAAミーティングに行くのです」と。私はその言葉を聞いたときに、自分の命と仲間の命を守ることでもあるのではないかと思いました。
生きづらさからの回復とは人間関係の修復からなのでしょう。

※『AAサービス・マニュアル2001―2002年版(アメリカ/カナダ評議会承認)』より
 (この文は個人的雑感であり、AAの見解を示すものではないことをお断りします。)