時代を見る目 248 生きづらさからの回復 [2] MIX UP YOUR LIFEという生き方

齊藤和夫
青十字サマリヤ会 館長

2012年厚生労働省からアルコール関連の社会的損失(2008年データ推計)が4兆1483億円であったとの報告がありました。またアルコール飲酒率調査(1年以内に1回以上飲酒した人の割合)で20代の前半に限ると男性が83.5%、女性が90.4%で女性の飲酒率が増加している調査結果が出ています。さらに2008年中高生の飲酒行動に関する全国調査(日本公衆衛生学会誌)によると、月に1~2回以上の飲酒率で中学3年生男子17.3%、女子12.7%、高校生3年男子34.7%、女子28.9%と未成年者の飲酒が日常化している状況です。

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国際青十字会(インターナショナル・ブルークロス)の本部があるヨーロッパにおいてもアルコールによる社会的損失が20兆7214億円で、その対策が急がれています。その中でも一次予防として、若者への予防教育が進められていて、ブルークロスの青年グループも地元の教会で19年前から活動が広がり、今ではスイスとドイツの8地区で12名の正職員と数十名のボランティアが活発に働いています。その活動の始まりは1996年ドイツのブルークロス青年グループが教会主催のゴスペル祭に参加し、ミックスドリンク(ノンアルコール)を提供したことが好評となり、次年も教会の招きがありロゴやカウンターを制作し参加しました。
1998年その様子がドイツの全国ネットのテレビで紹介されたことにより、2002年スイスのブルークロスに事務所が開設され「予防と健康促進の提供」を目指す「ブルーカクテルバー」(ノンアルコールのカクテルを提供)の運営指導が始まりました。さらに活動がひろがり、2009年には国際見本市、結婚式、各種イベント会場でおしゃれな「ブルーカクテルバー」を設置できるまでになりました。

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ブルーカクテルバーがロゴに「MIX UP YOUR LIFE:人生をかき回せ」とあり、若者たちが主体となって新作カクテルの開発やバーテンダーの育成、アルコールや薬物の危険性を知らせるパンフレット作成など積極的防止に取り組み、悩みや生きづらさを抱える若者への交流(人生をかき回せ)の場としても用いられています。