往復メール shioya Vol.7 楽器の話

塩谷達也
シンガー/ソングライター/プロデューサー JECA 西堀キリスト福音教会会員

 僕は中学1年の時からギターを弾いている。最初は近所の人にもらったクラシックギターを弾いていたけれど、中2の時にお年玉をはたいて稲妻みたいな形のエレキギターを買った。そして今に至るまでギターを弾いているわけだけど、その演奏は今も自分が思い描くようにはいかない。それでも、ギターが好きだ。ギターを抱いた時の安心感。ギターのボディを伝わって体に響いてくる振動。弦の共鳴。その得も言われぬ「いい感じ」。特にアコースティックギターの生音は、自分の周りを優しく囲むキャンドルのようで、弾いていると、今自分がここにいて息をしてるんだと確認できるような気がする。

 ダビデは竪琴を奏でて主を賛美していたという。僕もここ数年、ギターの弾き語りで賛美し始めた。アルバム「琴音」にもそういう曲を入れたけれど、弦楽器の振動は人をスピリチュアルな気持ちにさせるのかもしれない。

 また、僕は歌い手なので、いろんな楽器の伴奏で歌う機会がある。ピアノとのデュオ、バンドで、コンピューターと、クワイアと、弾き語りで、などなど。どんなときも思うのは、心も体も解放されて歌いたいということ。そのためには僕自身いろんな準備が必要だ。主にすべてをゆだねて祈り心でいること。技術的、体調的な準備。そして、それにも増して大切なのが、伴奏者の楽器を聴き、受け入れ、調和すること。よくクワイアで、音が取れないメンバーにも言うんだけれど、まず他の人の音を聞くこと。そしてその声に寄り添い、そこに調和しようとした時に、初めて自然なハーモニーが生まれる。これはコミュニケーション、人との関係においても共通して大切なことじゃないかと思う。家族、友だち、職場、教会生活、どこにあっても、まず相手の出す音を聞く者でありたいと思う。そして何よりも、神の前でまず、「主よ、あなたの御声を聞かせてくだ さい」と祈る者でありたいと思う。