往復メール shioya Vol.4 マヘリア・ジャクソン

塩谷達也
シンガー/ソングライター/プロデューサー JECA 西堀キリスト福音教会会員

 大学2年か3年の時、敬にマヘリアを聴かせてもらった。マヘリアの歌は、とてもブラック・ミュージックの枠に押しとどめられるようなものではなく、そのころブルースを歌っていた僕には、初めて出会ったどう表現していいのかわからない歌だったと思う。まるで聖書のメッセージに初めて出会った時みたいだね。

 それでもマヘリアの歌に惹かれ、敬のピアノで、彼女の愛したゴスペルを何曲も歌ってきたけれど、今、初めてマヘリアの歌がわかる気がしてる。マヘリアの、あの子どものようなまっすぐな声、聖霊に触れられて突然ならすクラップ、小節をまたぐうめき、そういうことの意味がわかるんだ。彼女が聴衆に向けて歌っているのではなく、主に向かって歌っているということも。

 最近、自分の部屋でひとり歌っていて涙がこぼれてくる。悲しいからではなく、主が近づいてくださって、主が聴いてくださっていることがわかるから。

 マヘリアは、周りから見たら決して恵まれた幸せな人生を送ってこなかった。貧しさ、離婚の経験、様々な批判。しかし、それらの試練の上に、主は姿を現される。彼女を見ていると、火のような困難こそがゴスペル・シンガーを育てるんだなと思う。そこに神の愛があるんだね。まっすぐに主に歌われるゴスペルは、必ず人にも伝わる。マヘリアの歌は、ヨーロッパを始め、日本でも受け入れられたんだから。

 “My God Is Real”という彼女の歌を、僕は大切にしている。

 「僕たちには、人生においてどうしてもわからないことや、たどりつけない場所がある。でもひとつだけ。僕の信じてる神はほんとうだということ。それだけは、魂が知っている。」そんな意味の歌だ。

 どんなに大変なことがあっても、だれもマヘリアからこの喜びの歌を奪うことはできなかった。僕も今そう思う。僕がひとりで神さまに歌っている時の喜びは、だれにも奪えない。

 天国でマヘリアと歌う時を楽しみにしている。