子どもたちに今! 伝えたい
「性といのち」の大切さ… 第25回 いじめられていて
つらくて憎い

永原郁子
マナ助産院院長

ぼくは県立高校の三年生で十八歳です。去年、二年生に進級してからずっと汚いいじめにあっています。クラスの男から、毎日のようにシャープペンや消しゴムを盗まれたり、体操着袋にインクを流しこまれたり、弁当箱をゴミ箱に捨てられたり、「死ね」とか「自殺してみろ」とか汚い言葉をいっぱい浴びせられます。担任の先生、生徒指導の先生、教頭先生、校長先生にも相談しましたが、「そんなこと自分で考えろ」と聞いてくれません。身体が弱く、障がいがあるので、父や母はこれ以上苦しめられません。大津で中学生の男の子が自殺に追い込まれた事件が連日のように報道されています。「勇気があるなあ。ぼくも死にたい。死ねばイジメから解放されるのに」って思いますが、ぼくにはできそうにありません。週刊誌で三十二歳の独身の男性が、「中学時代にいじめられて高校にも行けず、今も引きこもっていたら、自分をいじめた連中が今も近所に住んでいて、結婚して子どもも生まれて幸せに暮らしている。それを見たらあいつらを殺してやりたいと思う」と言っていました。ぼくもそうなっていくのでしょうか。匿名希望

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相談してくれたこと本当にありがとう。あなたの味方はいっぱいいます。一緒に解決方法を探しましょう。あなたがだれからも脅かされず、楽しくイキイキと過ごす日は必ずやってきます。大丈夫です。クラスの男子からの陰湿ないやがらせや言葉の暴力は許せるものではありません。どんなにつらく、悔しく、悲しく、腹立たしい思いをされていることでしょう。このことをあなたが先生に相談したことは正しいことです。よくがんばったと思います。それなのに、生徒を守るはずの先生たちが、あなたの心の叫びに耳を傾けようとしなかったことも許せないことです。

「いじめ相談ホットライン」0570(0)78310

今回あなたからの相談を受け、このような状況では学校の先生方に解決を求めるのは難しく、逆にあなたの立場を悪化させるおそれがあるので避けたほうがよいと考え、教育センターの「いじめ相談ホットライン」に相談してみました。名前や学校名など個人が特定されないように配慮しながら、あなたが色々手を尽くしても功を奏さなかった状況も説明しています。連絡を取ってみてください。ホットラインでも状況を聞き、一緒にできることを考えてくださるとのことです。また、高校教育課から学校に指導することもできるとのことですが、その際にはいじめが増長しないように配慮してほしい旨を伝えてあります。また、もし困ったことがあったら私のほうにも連絡をください。二十四時間助産師が電話の対応をしています。緊急の時は深夜でも構いませんので、「緊急です」とか「いのちにかかわることです」と言って永原につないでもらってください。

心の傷、いじめられた経験を生かして生きる

いじめの問題が解決されたとしても、あなたの心に受けた傷はなかなか癒えるものではないでしょう。体の傷は治療をしたり、日にちが経てば治りますが、心の奥深くに受けた傷はいつまで経ってもうずきます。そんな心の傷を癒やす一つの方法は、あなたのうずいている心の傷に手をあて、あなたのうずきをともにしようとしてくれる人に出会うこと。また、あなたがこれまでに流した涙のすべてをご存知のイエス・キリストが、涙の傍らにいてくださることを感じることではないかと思います。
クラスメイトや先生方があなたにしたことは、人として絶対にしてはいけないことです。同じような経験をした男性が何年経っても殺してやりたいような憎しみを持っていることが書かれていますが、わかるような気がします。しかし、もしそのような生き方をするならば、人生が台なしになってしまいます。自分の人生がもったいなさすぎます。自分のいのちになんと失礼なことでしょう。あなたはそんな人生を送りたくないと思っておられるのですよね。一つのアドバイスは、あなたのそのつらい経験を、人からののしられ、あざけられ、つばきされて十字架にお架かりになられたイエスの心と重ね合わせることができるなら、それはとても貴重な経験になるかもしれません。あなたの受けた傷からイエスの愛がほとばしるように流れてくるかもしれません。その傷をサタンに用いさせるのではなく、キリストの愛を証しするために用いられたらと思うのです。

その後のこと

相談者の方から手紙が届きました。「……先日、先生に手紙を書いたら、その後は不思議に心が軽くなったようです。『味方はたくさんいます』のお言葉で、一人じゃあないんだと安心しました。嬉しかったです」。解決後の手紙です。「……永原先生にはお礼の言葉も見つかりません。感謝致します。これから年賀状などのお付き合いをさせて頂けたらなあと思っています。ご迷惑でなければ……」

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