ブック・レビュー 聖書通読の懇切丁寧なコーチ


廣瀬 薫
東京キリスト教学園理事長

一度めの聖書通読を果たして頂くことをひたすら目指した手引書です。内容は初めから終わりまで、懇切丁寧な励ましに満ちています。著者は今までも、信仰の入門者や奉仕の初心者に向けて、祈りや教理や伝道や牧会をテーマに、万人に分かりやすくまとめた本を出してきました。信仰生活に大切なことは、誰にでも分かるように伝えようとする姿勢が著者には一貫しています。本書は聖書通読の全行程を分かりやすくまとめて、初めての聖書通読へのチャレンジを支える内容で、初心者に親切な著者の姿勢が遺憾なく表れています。
私は、キリスト教を扱う講座などで、教会へ行ったことのない方々や、聖書を読んだことのない方々に、お話しする場を持ち続けています。そこでは必ず「聖書を読みましょう」「一度通読しましょう」と勧めています。しばらくして、「通読を果たしました」という報告に出会うのはとてもうれしいことです。しかし、「途中で挫けています」「分からない所が多くて引っかかったままです」という感想を聞くことも多いのです。そこで私なりに、何度挫けてもよいので続きを再開すれば必ず終わりまで行くことや、そもそも全体を繰り返し読まないと分かりにくい聖書の仕組みを伝えて励ましてきました。
そういう方々にとって、聖書通読を傍らで導き励まし、とにかくゴールまで導いてくれる本書は専属コーチのような存在となってくれるでしょう。「1年で聖書を読破する」のですから楽ではありませんが、コーチがつけば大丈夫と自信を持って取り組めるでしょう。順序は、新約のマタイ→ヨハネ→使徒。一転して旧約を創世記から順にマラキまで。詩篇は別メニューで途中に並行。そして新約の残りを順に終わりまで読了。毎週の分量が日割りで指示されており、その週の内容の概要が短くまとめられています。適宜図表もあって親切です。初めて聖書を読む方々はもちろん、実はクリスチャンも挫けがちな聖書通読へのチャレンジに有用でしょう。