ブック・レビュー ポケット・ディボーション・シリーズ
『新しい旅立ち』

『新しい旅立ち』
平岡修治
日本バプテスト教会連合 橋本バプテスト教会牧師

自分自身の信仰の尊さに気付かされていく

 このたび、佐藤彰先生による、『新しい旅立ち』を読ませて頂きました。いつものように「信仰」を見据えながら、軽妙なタッチで筆が進められていきます。何とかして、読者に神様を仰いで頂きたいという思いが全編を貫き流れます。

 同時に、信仰に生きることの難しさもわかりやすい文章で表現してくれています。私たち信仰者も悩むこともありますし、苦しむこともあります。自分の弱さを嘆くこともありますし、人につまづくこともあります。眠れない夜を過ごすこともありますし、行き詰まることもあります。そんな人たちに、神が持つ人への思い、愛を具体的な例を提示しながら解き明かしてくれます。どう主と向かい合っていくかをも教えてくれます。そして、ページが進むにつれ、次第に自分自身の信仰の尊さに気づかされていきます。

 この本は「ポケットディボーションシリーズ」として出版されています。一冊が三十回のメッセージから構成されていて、一か月のデボーションでひととおり終わるようになっています。

 まず、みことばが掲げられ、そこからのメッセージがわかりやすい言葉で、読者の心に語られていき、最後に、祈りへと導かれるのです。文字どおり胸ポケットやハンドバッグに入るサイズでどこへでも手軽に持って行けるわずか六十三ページの薄い書籍です。しかし、よくもこれだけかけがえのない内容を盛り込んだものだと驚かされます。まさに、この本には信仰のエッセンスが詰まっています。

 著者は、二巡目を迎えたら冒頭の聖書箇所全体を開いて読み、それから解き明かしに目を通しても良いでしょう、と勧めています。確かに、みことばがさらに輝きを増し、私たちの心に生きた力となって響いてくると思います。この本をすり切れるほど読んだとき、心は神の愛で満ちあふれることでしょう。