ブック・レビュー クリスチャンにもおすすめしたい
聖書のダイジェスト版

 『バイブル・ストーリー・ブック』
本澤敬子
日本同盟基督教団・国立キリスト教会 教育担当牧師

「こんな厚い本、一生かかっても読めませんよ!」
ある方が聖書について言われたことばです。一年に一回、あるいは三年に一回などのペースで聖書を読もうとしているクリスチャンにとっては、くすっと笑ってしまいたくなるような一言です。でも、よく考えてみれば、聖書はこんなに厚くて、でもページはうす~い紙で、文字はわずか九ポイント(三・二ミリ)ほど!(ワープロソフトの標準は一〇・五ポイントです)こんな本がほかにどこにあるというのでしょう。外見だけ見れば、活字離れしていない人たちにとっても、実にとっつきにくい本であると思われても仕方がないと思うのです。
聖書なんか、とてもとても……という方々に、この『バイブル・ストーリー・ブック』は朗報です。正直なところ、クリスチャンは聖書のダイジェスト版には眉をひそめてしまいがち。私もその一人です。聖書のことばを果たして正しくダイジェストすることなどできるのだろうかと思います。眉唾で新約聖書の福音書を読み始めて、これならいける! と思いました。「ここは変わっていてはいやだわ」と思うことばは、聖書本文そのものが、ダイジェストされた文章に実にうまく溶け込んで書かれています。しかも、ちょうどかゆいところに手が届くように、ところどころに解説文が加えられています。
旧約聖書は理解しやすいように、わかる範囲で歴史の流れに従った順序が組まれています。また、区別がつきにくい預言書での解説のわかりやすいこと! それは、長い年月をかけた研究が背後にあることをうかがわせます。
では、パウロの手紙は? あの難解なローマ書は? ちょっと読むのが面倒なレビ記は? そう興味がわいてきた方は、ぜひ手に取ってみてください。読むのが楽しくなること、間違いなしです。
クリスチャンではない方の入り口にと書かれたこの本は、実はクリスチャンではあるけれど、なかなか聖書が理解できないという方にぴったりの本かもしれません。