ブック・レビュー 『永遠の手』

『永遠の手』
鈴木 義明
日本福音自由教会協議会 上田福音自由教会牧師教会形成青年宣教支援ミニストリー(日韓宣教協力)副代表

自殺志願者から讃美する者へ 本書は、自らが何度か死を見つめて格闘して、そこに神の御手の中に自分を再発見した著者の記録です。

 私が著者の向日さんとお会いしたのは讃美の奉仕者として、教会にお迎えした時でした。その讃美は、心からほとばしり出た神への讃美です。熱心に信徒たちのために聖歌隊のご指導をしてくださり、また私が近畿福音放送伝道協力会の委員長を担っていた中で、関西の諸教会に紹介させていただきました。期待に応えて多くの教会に讃美の素晴らしさを、信仰の表現として讃美の方法を教えられ、活躍してくださいました。

 著者が自分の中の闇や家族関係の葛藤、そして成長して行く過程での自分との出会いの中で、自分を見失い、幾度か摂食障害、失声、そして自殺を願い、もがいた記録が本書には記されています。それは、再び自分を神の御手の中で見出された記録です。

 向日さんの音楽は実体験の証の音楽です。非常に澄んで美しい声と同時に証に裏付けられた強さと広がりがあります。

 本書の構成は、ご自分の成長記録の形をとっており、クリスチャン家庭に生まれ、しかし、特に父親との関係で、父を尊敬しつつも非常に心傷つき、葛藤しながら子供時代、思春期、そして音楽大学へ進む様子が書かれています。そして感受性の強かった著者は、真剣に真理や真実な愛を追い求め、裏切られ、拒食症になって追い込まれて行くのでした。

 また「愛を受け止める腕が自分にはない、愛が注がれてもそれを受け止められない自分」と非常に苦しいところを通られています。そして卒業後、スイスの真っ暗闇のピラトゥス山の山中で自殺を実行しようとしましたが光なる神に出会い、闇から救い出されたのです。

 闇の中から聖書の御言葉が次から次へと語られ、また十字架の思いがくり返されて迫って来たそうです。

 本書には、葛藤する心の動きの詳細な記録があるので、実に多くの悩みある者の助けとなると思います。