ブック・レビュー 『日本人はなぜキリスト教を避けるのか』

『日本人はなぜキリスト教を避けるのか』
勝原忠明
西日本福音ルーテル教会・鳥取福音ルーテル教会牧師

日本の文化習俗を知り、理解し、福音を伝えるために

 町内会の回覧に、神社の「氏子数の激減による氏子料の値上げのお願い」が入っていました。昭和の面影を残す城下町でも、地域の絆や伝統が失われつつあることがわかります。

 本書に「日本の神々は聖書の神と多くの点で違っているものの、神道の人たちは、直感的にその気高さを感じ取っていました。神道は……その基盤は少しずつ揺らいでいます。なぜなら歴史とその信仰をみると、神道が神道としてその特色を形成してきたのは、畏敬の念を起こさせるような豊かな自然があったことと、家族や地域の中に強い共同体意識があったことによるからです。だから自然を大切にするという思いを育ててきたのです。しかしこれらが壊れていく中で、どこによりどころを求めていくのかが問いかけられています」(三一頁)と記されています。

 キリスト教は結婚式やクリスマス、ミッションスクールなど広く受け入れられている部分があると同時に「宗教としてのキリスト教は敬遠されてしまっているようです。 その背景として、キリスト教と日本の宗教や習俗、文化などが食い違っていることにキリスト者自身が気づかず、ただ一方的にキリスト教を紹介したり、押しつけてしまったりしているところに一因があると思われます」(四頁)と著者は指摘します。

 そして「日本人の精神風土について」「人生儀礼について」「年中行事について」六十六項目にわたって、現代日本人が「なにげなくおこなっている習俗、習慣」などを題材にして、簡潔、明瞭にその起源や意味を明らかにし、さらに福音の光をそこに当てています。

 日本の文化や宗教へのあたたかい理解と深い洞察、福音へのあつい思いから生み出された本書が、まずクリスチャンに読まれ、家族や親族、友人に手渡されることを期待します。そのためには「私たちが……『良き隣人』となり、偏見や心の距離をなくしていくことが大切です」(三六頁)。