ブック・レビュー 『愛する幸せ32章』

『愛する幸せ32章』
山口 陽一
東京基督神学校 校長

愛すれば愛するほどもっと愛したくなる

 「『愛』は朴先生のテーマ、いや人生そのものです。先生の牧会される教会を見ていると、すぐにわかります。先生のご家庭を見ると、すぐにわかります。先生ご自身を見るとすぐにというより、近づく前にもうわかります」という下川友也牧師の推薦のことばにいたく同感しつつ、一気に読んでしまったが、もう一度、二度、三度と、みしめながら、祈り行いながら読むべき本だと感じている。

 「愛は生まれるものではなく学ぶもの」という朴牧師は、意外にも牧会を始めた当初、人をどのように愛したらいいのかわからなくて祈ったのだという。本書は、著者が祈りながら聖書に聴いてきた軌跡の幸いな記録である。

 その幸いは、次のようなことばに表れる。「愛は誰でも喜んで表すことのできるものであり、愛すれば愛するほどもっと愛したくなる魅力がある」。このようなことばは経験の中からしか出てこない。そして、その実践は、実に具体的なのである。「愛は相手といっしょに歩く」に始まる各章には、朴牧師が、主イエスの愛し方から学んだ十ほどの聖句が掲げられる。ここはぜひ声に出して読みたいところ。さらに、みことばに従って、今日、すぐにもできることが数え上げられる。

 夫婦のディヴォーションで『愛する幸せ32章』が読まれるとき、青年会や婦人会などのグループ聖研などで分かち合われるとき、もちろんひとりで味わうときにも、読者は必ずや「愛」は身近にあると感じ、これはできそうだと励まされるにちがいない。そのように励まされて愛を試み、愛する幸いを知ったなら、「愛すれば愛するほどもっと愛したくなる」。それは初めから、遠い夢ではなくクリスチャンの日常なのだと思わせてくれる。

 朴牧師は、主のすべての所作に「愛」を見いだし、それに習うことを促す。本書は、愛についてのエッセイではなく、新しいタイプのディヴォーションブックである。