ブック・レビュー 『必ず儲かる聖書のビジネス』

『必ず儲かる聖書のビジネス』
小宮山賜夫
日本アライアンス教団 日本アライアンス呉教会主任牧師 JTJ宣教神学校講師

教会がタブー視するお金について真っ正面から取り上げる

 「お金は大切なんだよ。力となるから……」「そしてもっと大切なのはどのように貯めるかではなくて、何のために使うか、だれのために用いるかだよ……」。近ごろよく聞く拝金主義的な風潮について、中野雄一郎先生と話し合っていた時、先生は明確に語られました。

 私たち日本のキリスト者にとってお金やビジネスにまつわる話題は、ある種タブーのような存在かもしれません。お金のことを言うと卑しいと思われないか、という妙な暗黙のプレッシャーが教会にも役員会などにもあります。それって偽善じゃないの? と思うほどお金のことは口にしないことが信仰の世界のように言われてきました。特別な講師に献金のお話をしてもらっても、その教会の牧師自身は避ける、献金の話をすると礼拝出席者が減る……という傾向もあります。

 でも私たちが生活し、活動し、伝道していくためには、お金は必要です。それはみんなわかっているのです。

 この本は、日本のキリスト者が避けているタブー的テーマを真っ正面から真剣に取り上げて、わかりやすく真面目に伝えてくれます。そもそも題名とヘッドコピーが著者の勇気を表しています。

 前半はサクセスストーリー的な例話で読者の心をとらえ「儲かる」という文字のとおり信じる者への祝福を示し、後半は読者自身に摘要し自分を見つめ直させ、最後に信じる者の祝福に戻るという流れはまさにパブリックスピーキング的展開です。さすがだなあとうなります。

 時間を忘れて一気に読むことができます。また鞄に入れて、休憩時間や電車バスなどの中で少しずつ読むこともできます。それは決して単なる良いお話集だからではなく、生きた真実の内容だから心に響くものである証明です。最近話題の新書スタイルで現代人の要請に答えたこの本は、一般書として街々の書店にならぶべきものだなあと感じます。私たちに深い勇気と大きな祝福と元気を与えてくれるアヴァンギャルドな新書です。