ブック・レビュー 『主の道を行かせてください』

『主の道を行かせてください』
福島さゆみ
日本バプテスト連盟・新小岩バプテスト教会員 フリーライター

女性宣教師が救済活動の中で書き留めた霊想書

 この三百六十六日の霊想集の著者、エミー・カーマイケルは、南インドのドノヴァーで苦難と迫害の中に生きる女性や子どもたちを救済する働きを始めた女性宣教師です。

 インドの古い異教的慣習に囚われた人々との軋轢は常に直面する霊的戦いでしたが、何よりもエミーの心を悩ませた最大の課題は外部からの攻撃への対策ではなく、同労者であるクリスチャンとの意見の食い違いや不協和音であり、施設で暮らす愛する子どもたちと若き同労者たちの信仰の成長でした。

 晩年、病に伏して現場の働きに加われなくなったエミーは夜明けと共に聖書を開き、同労者の信仰が守られ成長するように、そして施設で育つ子どもたちが創造者であり贖い主であるイエス・キリストをより深く知ることができるようにと祈りつつ、みことばから与えられた真理と霊的な祝福を書き留め、分かち合うようになりました。

 この本には「けさ、このおことばを読んだ時に……」という文が何か所か見られます。エミーが愛する者たちのため、朝に夕に祈り求め、彼らを励まし養い育てるために書き留めた覚え書きらしい一面です。その中に、私たちは信仰の先達である彼女の迷いや疑い、困惑や飢え渇きを見、彼女がどのようにその祈りの答えを見出していったかを垣間見ることができます。

 一日一日、信仰の旅路を先立って歩んだエミーの足跡をこの本を通して追い続けていく中で、愛する主との交わりのひとときを最も大切な習慣として生活の中心に据え、みことばによって力を受けていたエミーの生き様が伝わってきます。一日の文章量は短いですが、神の子どもたちの信仰を助け、強め、力づけるために書き留められた一つ一つのことばは研ぎ澄まされた力強さにあふれています。

 この本を用いて主のみ前に祈り求めるひとときをもつ時、主を待ち望み、主の道を歩むことを渇望する思いが強められて、日々のディボーションがますます祝福されていくことでしょう。