ブック・レビュー 『リーダーシップを育てる76の知恵』

『リーダーシップを育てる76の知恵』
ダニエル・アイバーソン
日本長老教会 おゆみ野キリスト教会主任牧師

宣教に効果的な指導者たちを育て上げるために

 神はどの時代でも、御国の前進のために「リーダー」という人々を用いてこられた。

 日本の教会は小さく指導者も少ない。指導者を育てる必要があり、指導者はさらに効果的な指導者に成長する必要がある。本書はその助けになる本である。76の格言は、短いものであり、一つ一つ面白く、非常に具体的である。読みながら、自分の教会のリーダーたちと一緒に、会議の初めに、訓練のためこれらの格言を使っていこうと決めた。

 私も色々な国を見て来たが、日本は牧師がほとんどの働き(日曜学校以外)をこなそうとし、働きを分担する指導者を育て上げない傾向がある(エペソ4・11、12)。そのため、教会は牧師のリーダーシップの限界で止まってしまう。私自身、これからは直接ミニストリーをすることを少し減らし、リーダーを育て上げ、訓練していこうと思わされた。

 しかし、この本について幾つか心配もある。著者のことばの方が神のことばより顕著に現れているという点である。また、アメリカのメガ・チャーチの例が、教会規模の違う日本の読者にはどう映るだろうかとも考えた。

 とはいえ日本におけるクリスチャンの指導者にとって、本書はとても必要である。そこで、オズワルド・サンダース著『霊的リーダーとなるために』(いのちのことば社)を、本書と一緒に読むことを勧める。ハイベルズ氏はリーダーシップの人間的、実践的な面、ビジョン、創造性、熱心さ、チームワークなどを強調しており、『霊的リーダーとなるために』はこの強調点を祈りや神への信頼に関連させ、さらには聖書から、また教会史上の偉大な指導者からリーダーシップ原則を取り入れて、上手にバランスを取って書いている本である。

 著者は、本書の最後でリーダーたちにたくさん本を読んで成長するようにと強調している。偉大なリーダーはいつも本を読み、学んでいる。まずは、サンダースとハイベルズの本を読もう。そして、学んだことについて、リーダーや、これからリーダーとなる人たちと話し合っていただきたい。