スポーツミニストリーの挑戦 第3回 運動部の生徒たちにも

蔦田聰穀
インマヌエル堺キリスト教会牧師
スポーツネット関西/大阪・主事

昨年度、息子の通う中学校でPTA会長を務めました。部活動への参加率は約七割、また学校外のスポーツクラブに専属している生徒もいるので、合わせて八割ほどの生徒が課外活動に加わっています。周囲の学校に比べると参加率は高いほうですが、それでも二割ほどの生徒の中には、勉強するでもなし、ゲームに没頭したり、コンビニの周りに座ってただ時間を過ごし、そのうちにタバコや良くない薬で遊んでみたり、若いエネルギーを持て余して夜な夜な遅くまで遊び、悪い大人に取り込まれていく子がいるようで、大変気がかりです。
それを考えると、部活動を通して学べることも少なくありませんし、子どもたちが部活動に熱心になることは、勉強が疎かになることと差し引きで考えても、仕方ないかと思っています。
中学校に入学した息子は、体育会系にするか、音楽系にするか迷っていましたが、結局音楽系を選びました。ちなみに私が関東に住んでいた高校時代は〝ブラス〟と言っていましたが、二人の息子たちは〝吹部〟と呼んでいます。〝吹部〟は日曜にも練習がありますが、クリスチャンの息子は入部前に顧問の先生に、「日曜日は教会に行くので欠席しますが、それでも良いですか」と言い、承諾してもらいました。とはいえ、コンクール出場や公演等は日曜と重なることもありますので、あまり周りに迷惑をかけるのも考えものです。「聖日厳守」が基本方針ですが、会社の日曜出勤、家族の法事など、大人の事情と同じように、子どもの場合もそのつど悩み、祈り、考えることも大切だと思います。日曜日の部活に行く前の早朝や帰宅後に、会堂に二人、時間をずらして礼拝をささげたこともありました。それでも、部活動のない日曜日に、ひょっこり部活の友人たちを集会に連れてきたりするので、息子もそれなりに頑張っているのかな、と見守っています。

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吹部やコーラス等、音楽系の部活をやっている子にとっては、教会でも興味深く、誘いやすいプログラムが組まれることが多くあります。また教会も、彼らが賛美奉仕者として育ってくれることを期待します。
しかし、体育会系の部活に入った子どもたちにとってはどうでしょうか。例えば「クリスマス・コンサート」。無理とは言いませんが、どれくらい魅力を感じてくれるでしょうか。また教会に、彼らが活躍できるような場面はどれくらいあるでしょうか。その磨いている運動能力を、主に仕えるために用いる道はあるのでしょうか。
私は中学時代にサッカー部に所属していましたが、教会に行っているなんて格好悪いと思っていたのと、こんな自分の生活では神様に申し訳ないともわかっていたので、友人を誘うどころか、なるべくその辺りのことは伏せていました。受験直前に悔い改めた私を、イエス様は少しずつ変えてくださり、ひょんなことから入った〝ブラス〟はサッカー部とはまったく雰囲気の違う世界で、「先パーイ、おはようございまーす」なんて後輩の女の子たちから声をかけられて、ナンだか背中がくすぐったい、そんな高校時代でした。教会内でも楽器や賛美奉仕の機会が与えられ始め、生まれて初めて自分の友人が教会に来ました。クリスマスや特別集会などには、音楽のプログラムも多く、友人を誘いやすかったのです。部員の七、八割が女の子でしたし、「教会に行く」と応じてくれるのも女の子ばかりなので、教会では「女の子ばっかり連れてくる……」なんて言われましたが。もし当時、サッカー部に入っていたとしたら、何人かでも教会に誘えただろうか、彼らの居場所を教会に作れただろうか、と考えてしまいます。
今現在では、〝吹部〟に入った息子が昨年のクリスマス、教会に部活の友人たちを十数人連れてきました。一方、私が最近教会に誘っているのは、サッカー関係の人が圧倒的に多くなりました。この原稿を書いている今は、「FIFAワールドカップ2014」の真っ最中ですが、世界的に有名なクリスチャンのサッカー選手のあかしや聖書のことばが書かれた『Twenty-14 ポケットガイド』というトラクトがあって、つい昨晩もサッカーの試合後、自分のチームだけでなく相手チームにも配りましたが、皆さん喜んで受け取ってくれました。教会に運動部の人たちの居場所や活躍の場もあれば、と思うのです。