いのちのことば社創立60周年記念
聖書のことばをそのまま伝えて60年 ■神の働きを単純に信じる信仰で

ケネス・マクビーティ
いのちのことば社 初代会長

一九五〇年に、湖浜馨牧師と二人でいのちのことば社を始めたとき、私は二十二歳でした。来日前、日本は食べ物も乏しく貧しい国だと聞いていましたから、宣教は難しいだろうと思いました。しかし、日本人は本をよく読む民族であり、福音を伝える文書が必要だという、もう一つの声が聞こえたのです。そこで心配しないで、信仰のチャレンジとして、恐れずに着任しました。
 創立一年目に、翻訳本を三十冊発行しました。その頃は出版について何も知らないスタッフばかりでしたから、まともに考えたら不可能な数でしたが、主の恵みによって、生みだされました。
 創立時、いのちのことば社の理念として掲げたのは、第一に「神様に従っていくこと」でした。だから、聖書のみことばを、そのまま伝えることを何よりも大切にすることにしました。これを聞いた多くの日本のクリスチャンから「聖書を重んじるのはいいが、強すぎる(聖書そのままの)メッセージだと日本人には敬遠される。誰でも喜ぶ幅広い内容でないと成功しない」と言われました。しかし私は理念を貫きました。そして、いのちのことば社は大きくなり、日本の福音的な教会も拡大しました。
 日本人は頭がいいですね。それは良いことですが、注意しないと、悪魔の誘惑に陥ってしまう。自分の頭で考えて、現代では神様が働くことなどないと考えてしまうのです。
 一方で、韓国や中国には、単純に信じるという信仰が広くみられます。そういう単純な信仰をもてる日本になれば、もっと大勢の人が信仰に入っていけるのではないでしょうか。
 神様は生きておられます。モーセが見たように、神様は今ここにおられて、働いておられる。どうかそれをはっきりと信じていただきたいと思います。