『教会福音讃美歌』ができるまで 第1回 存在意義

安藤能成
福音讃美歌協会代表理事日本同盟基督教団・世田谷中央教会牧師

二〇〇三年の懇談をきっかけに発足した「福音讃美歌協会」。『聖歌』以外の歌集が多数出される中で、「賛美することを、自分たちで考えなければいけなかった」と気づかされた福音派の諸教会が自らの手で讃美歌集の作成をはじめた。ついに今春『教会福音讃美歌』を出版する。

Q「福音派の立場」としての讃美歌集ということですが、ほかの讃美歌集との違いは何ですか。

「福音」の理解において、イエス・キリストの十字架と復活が信仰告白の重要な柱であることを明確にしていること。そして、教会で主を礼拝することを基本にしながら、いろいろなシチュエーションと幅広い世代に用いられることを考慮しています。
そのため、内容も既成の讃美歌集からのものや海外の新しい讃美歌、現代日本人の創作讃美歌など幅広く収録しています。愛唱讃美歌も新しい翻訳を試みていますが、すでに永く定着している歌詞は文語体であっても採用しています。

Qいくつかの福音派の教団が協力して讃美歌集を作成するのは、初めてかと思うのですが。

福音派の立場から出された讃美歌集には、日本福音連盟の『聖歌』があります。けれども『聖歌』は中田羽後氏ひとりの功績と評価しています。それに対して、今回制作している『教会福音讃美歌』は、まさに正会員の各教派から派遣されたメンバーによって理事会、讃美歌委員会、神学委員会、頒布委員会が構成されており、実際の作業に当たっています。そういう点では初めてと言ってもよいかもしれません。

Q「福音讃美歌協会」にかかわっている三教派以外の福音派教会へのメッセージをお願いします。

『教会福音讃美歌』は、私たちにとって初めての作品ですけれども、諸教会をはじめとする会衆讃美の現場で十分に用いられる内容であると信じます。今お使いの讃美歌集とともにお用いください。歌集に含まれる中の二十曲は、既刊『あたらしい歌』(福音讃美歌協会編)でご案内しています。福音讃美歌協会の働きはこれからも継続していきますので、お祈りとご支援をお願いいたします。また、『教会福音讃美歌』の全曲目の紹介や讃美についてのセミナーのご要望にも応じています。ぜひお尋ねください。会員も募集しておりますので、この働きにご参加くだされば幸いです。

◆次回のテーマは「礼拝における讃美歌」