小さないのちが教えてくれたこと ◆リスクを知らない女性たち

水谷潔氏
小さないのちを守る会 代表

水谷氏は、中絶に対して「公平な情報が出されていない」という。
「目の前にある問題を、とりあえず、すぐに解決できる。多くの女性はそれが中絶のメリットだと考えているようです。即効性、インスタントさですね。一方、リスクについては病院ではっきり知らされない。中絶は医療行為ですから、患者にメリットとデメリット、恩恵とリスクを当然よく伝えるべきです。『怖い』『危険』『後で苦しむ』など漠然としたリスクは分かっているようです。しかし、医師から具体的なリスクを知らされることなく、中絶手術は行われています。日本の社会では、誰からもこうした具体的なリスクを教えられないまま、多くの男女が大人となり性関係を持っています」と、警鐘を鳴らす。「中絶後には、中絶後遺症候群(PAS)の症状であるうつやトラウマで苦しむ人もいます。人生の汚点や罪悪感というだけでなくてね。不妊になるリスクもある。PASは中絶後、五年経過してから症状が出ることが多いそうです。また、子どもが産まれてかわいいと思う反面、腹立たしく思う。おろした子どもを思い起こさせるから、など、虐待の原因に中絶の体験があることも言われています」
そういったことも、きちんと知ってほしいという。「中絶したことを後悔していないという人もいますが、こんなトラウマを持ち、こんなにも人生が不幸になると知っていたら、中絶などしなかったのに、という人もいます」
中絶で苦しんでいる人たちの存在は、表に出てこないだけで、一般の人たちが思っている以上に多くいるという。
「皆の前で、話せないでしょ。親友にしか話せないから、聞こえてこない」