ブック・レビュー 売上約一兆円の超優良企業・ヤマザキパンの成長の秘密は〝聖書”

 『山上の垂訓に隠された生命の道』
三谷康人
元カネボウ専務取締役

本書は、山崎製パン株式会社飯島延浩社長の真摯な信仰姿勢に勇気づけられる素晴らしいバイブルスタディーのテキスト集です。大企業の社長は日々課題を抱え、多忙を極めます。その方が、池の上キリスト教会で二週間ごとのバイブルスタディーを二十年以上も指導されたという事実は、驚きのほかありません。聖書理解は旧約聖書まで含めて実に深く、それをマタイの福音書の〝山上の垂訓”に隠された「生命の道」として集約しています。困難に際して主に祈り、聖書に聞きつつ歩まれた記録でもあり、私たちの信仰が励まされることと思います。ビジネスマンにとっては、企業のあり方において勇気づけられる話も語られています。
一九七三年七月一五日、「(両親であり創業者の)社主夫婦と私(現社長)の三人は揃って受洗しました。それから十一日目の朝、ヤマザキパンの武蔵野工場が生産設備を全焼する火災に遭遇しました」(三九〇頁)。翌日、三人は教会に行き、社主は次のように祈ります。「この火災は、ヤマザキがあまりにも事業本位に仕事を進めてきたことに対する神の戒めです。これからのヤマザキは、神のみこころにかなう会社に生まれ変わります」(六三頁)。創業十五年目、武蔵野工場の稼働前に制定した経営基本方針の前文に、「私はヤマザキパンの創業にあたり、仕事の成功の困難を痛感し、『一切自己の利益を考えませんから何とか仕事を成り立たせていただきたい』との念願から、すべて……」(一八七頁)と記した創業の精神は、ヤマザキの精神として今も流れています。また飯島社長は、あの有名なクリスチャンの経営学者ピーター・ドラッカーによるドラッカー財団のカンファランスに出席し(二七頁)、経営面の相談もされていました。ドラッカーの次の三つの質問は、教会・事業経営に非常に役立つものです。「私たちに与えられた使命は何ですか」、「私たちの顧客は誰ですか」、「その顧客は何を真に価値あるものとして求めていますか」(一一二頁)。
聖書への強い信仰と、ドラッカーのマネジメントを両手に持つとき、素晴らしい祝福の実りがあることを教わりました。ぜひ本書を読み、信仰の宝を掘り当ててください。