主の弟子となるための交わり 主の弟子となるための交わり
――日々の生活の中で霊性を培う

ハンス・ビュルキ著  多井 一雄訳

B6判 1,600円(税別)
いのちのことば社

現代人の信仰生活に展望を与える書

国際ナビゲーター本部スタッフ  小渕 春夫

 いまから二十年前、私がしばらくドイツに滞在したおり、友人から本書を勧められた。当時から注目すべき書として広く認められていたのだ。ただ、ドイツ語の難解さに私は歯が立たなかった。それが今回、全面改訂版による訳で読めるとは、何という幸い! 

 本書は、深い洞察に溢れた文章、現代のキリスト者が陥りやすい誤りへの警告、視野を広げてくれる知恵に満ちた言葉の宝庫である。米国のキリスト教界の影響が強い日本で、今も活躍中のドイツ語圏の福音主義者の著作は、私たちの信仰理解を確実に豊かにしてくれるだろう。

 たとえば、次のような箇所がある。「自分にふさわしい場所で活動し、ふさわしい仕事をしているならば……過剰な活動は少なくなり、今の時代や生活にはふさわしくないと思えるほどの、落ち着いた、慎重で単純な活動が生まれてきます」(三七頁)。「愛と信頼から生まれる自発的服従だけが、人の潜在能力を解き放ち、生の意味と使命を成就させるのです」(一二九頁)。このような箇所を読むと、ページを繰る手を休め、しばらく黙想の時をもたずにはいられない。しかも、そのような箇所が随所にあるのだ。

 私たちの信仰生活の歩みで、難問ゆえに解決を棚上げにしてきた様々な論点を取り上げ、その一つひとつに光を当てている。しかもそれらが、信仰生活の一貫性と統合を見いだす上で不可欠なものであることを明らかにしている。

 キリスト教界に潜む見せかけ、欺瞞、自己矛盾にも鋭く切り込み、はっとさせられる一方、信仰の生活化、身体性の獲得、日常的な生活動作の見直し、体験の豊かさの回復を、「二人の関係」を中心に構築するよう提案している。

 小著だが、題材が豊富で内容も深い。よく練られた無駄のない文章で、読者はかなりの咀嚼力を要求される。本書は滋養豊かな、繰り返し読むに値する書だと言えよう。翻訳も不明箇所がほとんどなく、恩恵をたっぷり受け取ることができる。関係者の多大な労苦に感謝したい。

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